会陰ヘルニア

犬の会陰ヘルニアとは、お尻部分を覆っている骨盤隔膜という膜に異常があり、骨盤内の臓器(直腸、膀胱、脂肪など)が外側に飛び出してしまった状態をいいます。

会陰ヘルニアの症状は?

通常肛門周りの会陰(えいん)部はむっちりした臀部の筋肉、大腿部の筋肉と筋膜で覆われていますが、会陰ヘルニアになると肛門周囲がぽっこりと膨らみます。

できてしまったヘルニア孔に直腸が入りこみ、その憩室に便が溜まると排便障害がおきます。まれに膀胱が入り込んだ場合には、排尿障害が起こります。

最近便が細い、便が出にくそう、肛門の横が腫れているといった症状が代表的です。

会陰ヘルニアの原因は?

会陰を構成する筋肉群が脆弱になり、委縮してくると起こりやすくなります。この脆弱化には男性ホルモンによる影響や、筋力低下を引き起こす病気、加齢などが関係していると考えられています。

5歳以降の未去勢のオス犬に多く見られます。よく吠えたりする犬、前立腺肥大で使を排出しづらくなった犬がりきむことによって、なりやすいようです。

発症しやすい犬種としてはボストンテリア、コリー、ボクサー、ペキニーズなどが報告されています

会陰ヘルニアの治療は?

治療にはヘルニア部にはみ出している臓器を元の位置に整復して固定し、筋肉の間に開いてしまった隙間をふさぐ手術を行います。

また、再発予防のために同時に去勢手術を行います。それでも会陰ヘルニアは手術後再発率が高く、特に片側の会陰ヘルニアの修復手術をした場合に反対側に再度起こることが多くあるとされています。

予防のためにも早めに去勢手術を行い、無駄吠えをさせないようにしつけをすることが大切です。

C105843

 

関連の記事

  • 臍ヘルニア臍ヘルニア 臍ヘルニアとはへその所で腹腔内内容物が皮下に脱出することです。 俗にいわれる「でべそ」とは臍ヘルニアであることも多くあります。 […]
  • 橈尺骨骨折橈尺骨骨折 橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の骨折は前肢への外傷の結果として生じます。 骨をおおう組織が少ないために開放性の骨折(骨の上の皮 […]
  • 脛骨粗面剥骨折 下腿の骨は脛骨と腓骨の2種類があります。その脛骨の正面上部あたりに「脛骨粗面」があります。 大腿四頭筋(太ももの筋肉)の腱が膝蓋骨( […]
  • 膝蓋骨内方脱臼膝蓋骨内方脱臼 小型犬の代表的な関節疾患で歩行障害や痛みを引き起こします。 膝蓋骨脱臼は全ての犬種で発生しますが、一般的には内方脱臼は小型犬に、外方 […]
  • 変形性関節症変形性関節症 変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)とは、関節のクッションである軟骨がすり減ったりすることで、関節に炎症が起きたり、関節が変形したり […]
  • 鼠径ヘルニア鼠径ヘルニア 動物の内臓は、通常は腹壁に守られて、あるべき位置にとどまっています。 しかし腹部に腹壁が完全にくっつき合っていない部分があると、その […]
公開日:2014/10/24
更新日:
治療は光が丘動物病院グループへ
日本で数少ない「1.5次診療」をおこなっている当グループは、
大学病院に匹敵する獣医療の提供飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。

PAGE TOP