子宮蓄膿症の手術のキーポイント
避妊手術をされていない、高齢犬の女の子に最も起こりやすい子宮蓄膿症について書かせて頂きます。
昨年11月に開院したばかりでまだまだ患者数の少ない麻布クリニックでも、4月までに2件の手術が行われているほど、この病気はとても身近にありとても怖い病気でもあります。
未避妊の仔に多い、とてもリスクのある病気
飼い主様が気付かれるタイミングとして最もわかりやすいのは、陰部から膿のような下り物があり、元気や食欲がなくなってきたという症状を発見したときです。
その時にすぐに病院へ来ていただければ、おそらくどの病院でも診断を間違うことはないでしょう。また、ほとんどの場合が緊急手術となるはずです。
発見が遅れてしまう場合は、この陰部からの排膿が見られない場合です。飼い主様が「すぐに治る」と思われてしまった場合や、来院しても検査を望まれずに対象治療のみをしてしまった場合は、ズルズルと進行、症状は悪化して手術へのリスクが高まってしまいます。
さらに最悪の場合が…
発見が遅れてしまった場合、子宮の中にたまった膿がさらに膨れ上がり、子宮の一部が破裂、お腹の中に膿が漏れ出てしまいます。
雑菌の塊である膿がお腹の中に出てしまうと、ひどい腹膜炎を併発しさらにリスクが高まります。当院グループ内でも何例かに1件破裂してしまった症例がみられます。
通常の子宮・卵巣の摘出に加え、お腹の中の洗浄を丁寧に行いますが、非常にリスクの高い手術となるだけでなく、手術後の様態も安定しないことが多々見られます。
本当にこの「子宮蓄膿症」は大変よくみられる病気ですが、とても怖い病気です。避妊手術をされていない女の子が体調を急に崩した場合、大事を取って獣医さんに腹部の超音波検査を行ってもらうことをお勧めします。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。