胆泥(たんでい)って?犬の胆泥症、治療と手術
「胆泥(たんでい)」って、皆さん効いたことがあるでしょうか?
人だと「胆石」という言葉は聞いたことがあると思います。同じようで違うのですが、同じ「胆のう」という臓器で起こる病気です。
胆のうの中にできる胆泥
胆泥はわんちゃんの胆嚢の中にたまる胆汁(たんじゅう)が泥のようになってしまう事を云います。
元々胆汁は液状で、胃から胃酸で溶かされた食物が十二指腸に来た際、消化を助ける役割があります。肝臓からできた胆汁は、いったん胆嚢にたまり、消化が始まると胆嚢から十二指腸に流れていきます。
胆泥ができるとどうなる?
胆汁が何らかの原因で泥のように粘度が高くなると、胆嚢にたまり続けてしまったり、うまく分泌できないという事が起こります。
ただ、多くのワンちゃんの場合は無症状なことが多く、中高齢になった時に受けたアニマルドック(総合検査)の超音波検査などでわかることがほとんどです。
検査で引っかかった場合、まずは内服薬を飲んで改善されるか試してみる場合が殆どです。
ただし、何かその他に消化器の症状や内臓の障害などがあった場合には、胆泥が溜まりすぎているせいで悪い影響が出ていないかと詳しく検査します。
ひどくなるとどうなる?
胆泥がひどくなると、胆嚢が破裂して胆汁がお腹の中に漏れ出てしまったりします。その際は「腹膜炎」というとても怖い症状を引き起こします。
泥の粘度が高いと内服薬や入院で点滴治療をしても良化することはめずらしく、早目に胆嚢の切開術や摘出手術を行う決断をしてあげてもいいかもしれません。
胆のうの外科手術、胆嚢切除
胆のうの切除手術はさほど難しいという物ではなく、経験のある獣医師さんであれば問題なく行えるものです。
ただし、胆泥を放っておいたがために、溜まりすぎて胆嚢が破裂してしまう事もあります。
破裂した場合はひどい腹痛などから始まり、腹膜炎が起こります。本人はとても苦しくなり、吐いたりなどの症状が見られる場合もあります。
こういった状況になってからの手術はかなりリスクが高くなり、くわえて本人の体調が崩れていることもあり、なかなか麻酔を安定してかけれなかったりします。
この胆泥という病気は無症状なことが多いので、気にされない方も多いのですが、実は結構大きな問題を抱えているという認識を持っていただけると助かります。
定期的な超音波検査などで経過を追うことと、悪い方向へ変化があった際は迷わず治療を一歩進めてもらいましょう。
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