どうしたらいいの?足を引きずるトイプードルの膝の脱臼
トイ・プードルやチワワといった小型犬がとても人気ですね!特に最近はトイ・プードルちゃんを新たに飼われる方を多くお見かけします。
人気犬種「トイ・プードル」の悩み
トイ・プードルちゃんに多くみられるのが、膝のお皿の脱臼です。膝のお皿は「膝蓋骨」とも言いますし、動物病院の中では『パテラ』なんて言われ方もしています。
この膝蓋骨、人ではめったに「脱臼している」なんてことはありませんし、もし脱臼していたら痛くてまともに歩けないですよね。
でも実際にワンちゃんでは脱臼していても歩けている仔がたくさんいます。さて、なぜでしょう?
人と犬、一番違うところは?
ワンちゃんと人は、2足歩行なのか4足歩行なのかという大きな違いがあります。ここに膝蓋骨が脱臼していても歩けるという理由が隠されています。
人は自分の体重を2本の足で支えなければなりません。しかも、足が脱臼や骨折した際には残りの1本ですべてを支えなければならなくなります。
それに比べワンちゃんは、一つの足に不具合があったとしても他の3つの足で体重を支えられるので、なんとか歩けてしまいます。
一説によるとワンちゃんの体重は前足2本に7、後ろ脚2本に3の割合で分散されているそうです。ただでさえ少ない割合の加重なので、片足をかばって生活していくことにあまり不具合が生じません。
こういったことで病気が隠れてしまい、本人が痛みを訴えない限り飼い主様も見過ごしてしまうケースが多くあると思います。
では、膝蓋骨の脱臼がある仔は必ず手術をした方がいいのでしょうか?
手術は避けて通れない?
動物病院に通うたびに獣医師から「膝のお皿が…」と言われ続けている方も多いかもしれませんね。確かに「完治」という視点からすると手術しか方法はありません。
かといって、すべての仔が対象かというと、かならずしもそうではありません。
やはり麻酔をかけての手術をどう捉えるかにもよりますし、脱臼の程度が低く、本人が生活する上で痛みや違和感など感じていないようであれば、手術よりも生活環境を変えるアドバイスやサプリメントなどで様子を見ていただくこともあります。
ただし、生活環境の変化やサプリメントを続けたからといって、上記にもあるように『治る』訳ではありません。良くて現状維持、悪化のスピードを緩めることはできると思います。
脱臼した状態を何年も続けていると、大腿骨(太ももの骨)と下腿骨(すねの骨)に異常が出てきてしまいます。
先ほど後ろ脚にあまり体重がかかっていないと書きましたが、まったくかかっていないという事ではありません。脱臼という膝蓋骨が正常な位置に無い事が原因となって、体重や力がかかり続けると下腿骨がねじ曲がってきてしまいます。
さらに歳をとってくると筋肉の量が落ちてきて、曲がった骨では体を支えられなくなってきます。
つまり、膝蓋骨の脱臼は
1手術でしか直す方法はない
2(痛みが無い場合)緊急にしなければいけない手術ではない
3症状の進行を緩やかにする為のサプリメントや生活環境の改善は、期待できる対処法の一つ
という事が言えます。
もちろん、若いうち症状が軽いうちに手術で治してあげるという選択肢はとても良いものだと思います。逆に、手術をしなくてもサプリメントを続けることで、一生進行を最小限に抑えられた仔もいます。
必ずしもサプリメントが効くという訳ではありませんが、重要なのは、かわいいワンちゃんの為にも「何もしない」という選択だけは避けてあげましょう。
気付かない間に進行してしまう病気だからこそ、気 づいたときにできる事から始めてあげてください。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。