もし高齢の飼い犬が椎間板ヘルニアになったら

当院に来る椎間板ヘルニアの症例は後を絶ちませんが、今回は飼い主樣方の参考になるような症例を紹介させていただこうと思います。

年齢11歳のワンちゃんの椎間板ヘルニア

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犬種はミニチュアダックスで、年齢は11歳。
症状の程度は全く立てないというところまで進んではおらず、起立は可能だが歩くのは困難という状況でした。
もちろんこの状況では手術は第一選択とはなりません。
年齢も考えると飼い主様も手術という選択肢をなるべく選びたくないものですよね。
内服薬での治療ではおそらく回復はあまり望めないと思われ、点滴治療で良化が見られるかどうか、まずは入院で治療を開始しました。
しかし2日間強めの炎症を引かせる治療を行いましたが、神経の反射は大きく変わることはありませんでした。

内科治療も反応は乏しく…

この状況ですと、症状の改善を期待して手術に踏み込むか、それとも内科的な治療を継続して症状の改善がみられることに希望を託すか…
症状の改善というところに重点を置くのであれば、やはり手術に望むのが妥当ではあります。
ただし飼い主様の心情を考えると、高齢の子に麻酔をかけ負担の大きい手術をおこなうよう勧めるのは、私たちでも気軽に行えるものではありません。
ここで、飼い主様が次の段階へどう移るか判断しやすくする為にも、手術をするしないにかかわらずMRI検査をしてみませんかと提示させていただきました。

現状把握のためにもMRIを

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通常であれば手術前提でMRI検査を行うことがほとんどですが、症状の改善がない場合は状況の把握の為にも撮影することがあります。
結果としては症状に出ているよりも脊髄の圧迫の程度が強いということが分かりました。
内科的な治療ではおそらく改善の見込みはないだろうということも言えます。
飼い主様もこの結果を見て思い切って手術に踏み切ることにしました。

11歳という年齢は麻酔をかけるにあたってハイリスクか?

ここで11歳という年齢で麻酔と手術に耐えられるか?という最大の不安が持ち上がります。
もちろんリスクは有り、最悪のことが起こる可能性は0では有りません。
ただし、抱えている病気が椎間板ヘルニアだけであり、血液検査やレントゲン検査で異常が見られない場合は、11歳という年齢はけしてリスクが高すぎるという年齢では有りません。
動物病院ではもっと高齢でもっと深刻な病気を抱えた子に麻酔をかけ、手術を行わなければならない状況が多々見られます。
そういった子達でも麻酔を乗り越えてくれ、病気を乗り越えて退院していきます。
わんちゃんは7歳を超えると高齢とも言われますが、健康体であれば10歳を超えていても麻酔に対して極端にネガティブな印象を抱えなくても良いと思います。

無事手術を乗り越え…

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もちろんこの症例の子も手術を問題なく乗り越え、現在は元気にリハビリに励んでいます。
飼い主様も「おもいきって手術に踏み切ってよかった」と言ってくれました。
椎間板ヘルニアの手術についてはこちら
いかがでしょう?
7歳以上のわんちゃんの飼い主様は参考になったでしょうか。
もちろん、その子その子によって状況が異なりますので、かかりつけの先生とよく相談してくださいね。
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