椎間板ヘルニア手術のキーポイント その3

いよいよ椎間板ヘルニアの手術も後半戦です。前回お伝えしたように、椎間板ヘルニアの手術は背骨に穴をあけて圧迫や圧迫物質を取り除く手術です。

圧迫物質を除去

背骨に穴を開けた後は周りをきれいにトリミングし、脊髄と背骨のわずかな間に詰まっている圧迫物質を『ナーブフック』という専用の器具でかき出します。

この際、まったく脊髄に触れずに圧迫物質を除去することは難しいのですが、脊髄に刺激が伝わりすぎると全身的な神経反射を起こすこともあります。脊髄は体の芯を通っている大きな神経なので、たとえ麻酔がかかっていてもわずかな刺激で体が大きく動いてしまうことがあるのです。

耳かきよりも細く小さな棒状のナーブフックでできる限りの圧迫物質を除去していきます。さらにかき出しきれなかった物質を除去するために、通常は点滴をする時に使用する「留置針」という針を使います。

繊細な作業が続く…

針といってもこの留置針は、長時間血管に入れておくものなので柔らかいプラスチック素材でできています。シリンジに生理食塩水を吸い、その先にこのプラスチックの針を取り付けます。

この先を背骨と脊髄のわずかな間に差し入れ、生理食塩水を注入していきます。この作業で隙間の奥に詰まっている圧迫物質まで洗い出してくるのです。

わずかな隙間しか作れない手術ですが、たとえわずかな隙間でも最大限に利用すれば、術後の経過もかなり変わってくるものです。圧迫物質を残したままでは手術成功とはいえないので、手術終了に向けて慎重な作業をできるだけ素早く行っていきます。

公開日:2015/03/09
更新日:
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