犬が人の薬を飲んでしまった!中毒の危険について
わんちゃんは時に思わぬものを飲み込んでしまったりしますね。
何か異物を食べてしまったことはありますか?
当院にも「おもちゃを食べてしまった」などで来院するワンちゃん達は後を絶ちません。
こういったある程度形のある物を食べてしまった場合、バリウム造影検査や薬で吐かせる処置(催吐処置)、そして直接お腹を開いて胃や腸を切開して取り出す手術などで解決できます。
またはある程度の大きさであれば内視鏡をつかい、摘まみだしてくることも可能です。
しかしながら、わんちゃんが食べてしまうものには、物理的にとりだせないものもあるんです。
物理的にとりだせない異物…
よくあるのは、表題にもあるように飼い主様の薬を食べてしまう場合です。
これらはチョコレートを盗み食いしてしまう場合と似ています。
わんちゃんにはそれが薬なのかチョコレートなのかの違いは分かりません。目の前にあり、空腹を満たせられそうだと思ったのであれば口にしてしまうからです。
この場合はどのような処置が望ましいのでしょうか?
手術では難しい場合も
もちろん、手術をして胃の中を開けてみても取り出せるといったものではありません。
摂取してしまった時間にもよりますが、比較的早い時間であれば催吐処置も有効です。
胃の中にまだ残っているもの、吸収しきれていないものを取り出すことができます。
また、医療用の活性炭を飲ませることも有効です。
炭には色々なものを吸着する作用があり、医療でも使われています。このような体に害のある物質を少しでも吸着してもらうために投与します。
体への障害、その影響は肝臓に
その他、体に害のあるものが吸収してしまうと、まず初めに肝臓に障害が出ます。そこからものによりますが様々な臓器に影響が及んでいくことも考えられます。
こうなってしまった場合、ひたすら点滴を流してあげて体の血液の循環を良くし、中毒を起こしている物質が少しでも早く排出されるのを助けてあげることしかできません。
薬によっては、外見上元気に見えても内臓の異常を血液検査で図るとかなり崩れてしまっているといった場合もあります。
人が飲んでいる薬だからといって、わんちゃん(ねこちゃんも)に無害であるという事は言えません。
また、人にとっての1錠と、ワンちゃんにとっての1錠はかなりの違いがあります。
たとえ1錠でもワンちゃんにとっては
2kgの小型犬が1錠飲んでしまった場合、人で例えると同じ薬を30錠ほど飲んでしまったという事になります。
常備薬が人の手の届きやすいところに置いてあるご家庭はおおいかもしれませんが、いつどのようにワンちゃん達がいたずらして食べてしまうかわかりません。
小さなお子さんと同じように、けして手の(口の)届かないところで安全に保管しましょう。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。