犬の子宮蓄膿症、パイオメトラって何

女の子を飼われている飼い主様、避妊手術はお済ですか?

今の飼い主様はほとんどの方が避妊手術をされるので、この「子宮蓄膿症」や「パイオメトラ」といった病気とは縁がないかもしれませんね。

避妊手術は絶対?

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もちろん、自然のままがいいというご意見をお持ちで手術されない方も少なくありません。

これは間違った考えであるとか、少数派であるという事ではないので、この記事を読まれている方も気分を悪くされないでください。

ただ、避妊手術を行うと、将来においてこの子宮蓄膿症をはじめとした乳腺腫瘍や卵巣腫瘍などの病気を予防できるのは事実です。

子宮蓄膿症とは?

さて、子宮蓄膿症とはいったいどういった病気でしょう?

字のごとくといった感もありますが、子宮に膿が溜まってしまう病気です。

この膿が悪さすることで、様々な悪影響を体に引き起こします。

注意すべきは、発情兆候が見られた1~2か月後あたりです。

発情が始まると女の子の体は男の子の精子を受け入れる為、子宮内の防御力(免疫力)が下がってしまいます。

子宮内には常在菌として様々な菌も生息しており、ふだんは免疫力によって悪さをする菌は繁殖を抑えられています。

ただ、この免疫力が下がった後、普段は力をさえられている悪玉菌が増え、子宮内に膿として溜まってしまうのです。

増え続けた菌が子宮を大きくする

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子宮は胎児の成長に合わせて広がっていく非常に柔軟な臓器でもあります。

子宮内の膿は子宮自体を何倍にも膨らませるほどに増え続けることもあります。

小型犬でも太さが5cmほどに膨らんでしまうことがあるほどです。

(通常の子宮の太さは5mm程です)

子宮蓄膿症の初期はほとんど気づくことができません。

というのも、あっという間に膿が溜まってしまい、症状が急激に進むからです。

陰部から膿が見られたらすぐ病院へ

一番わかりやすい症状は、陰部からの排膿です。

ベージュ色や赤みがかった膿が出てきたら、すぐさま動物病院に行きましょう。

この子宮蓄膿症は命にかかわる病気です。

とくに高齢に差し掛かってから発症することが多く、その点でも手術においてリスクが伴います。

当グループでも年間かなりおおくの子宮蓄膿症の症例が来ますが、手術は無事終わったものの、体力が続かず他界される子も稀にいます。

体の中に大量の膿が溜まるという事は、命を危険にさらすほど重大な事態なんですね。

手術の手技自体は避妊手術とほとんど変わることはありません。

ただし、かなり大量の膿が溜まっている場合、大きく膨らんだ子宮を摘出しなければならないため、開腹する術創の幅は避妊手術と比べかなり大きくなってしまいます。

また、最悪の場合は膿の量に子宮が耐えられず、お腹の中で破裂してしまっていることがあります。

この場合、お腹の中に盛れた膿がほかの臓器にも悪影響を及ぼし、重度の腹膜炎を引き起こしてしまいます。

こうなるとかなり深刻な状況へと変わってしまいます。

子宮を取り出した後にお腹の中を入念に洗浄しなければなりません。

また、手術後も敗血症などに移行しないよう、入院での治療が長引くでしょう。

予防や早期発見は?

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確実な予防は避妊手術です。

ただし定期的な超音波検査による診断で子宮の変化を追うことはできます。

避妊手術をされていない方は、この春にフィラリアや狂犬病で動物病院を訪れた際、腹部の超音波検査を一度してみるのをおすすめいたします。

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