犬の椎間板ヘルニア、手術しか治療方法はないの?
椎間板ヘルニアと聞くと、一番初めに「手術」というイメージが沸くかもしれません。そのくらい飼い主の方にもこの病気が理解されているという事なのかもしれません。
椎間板ヘルニア=手術?
確かに椎間板ヘルニアによる脊髄の圧迫が激しい場合、その一番の解決方法は外科手術となります。
その理由は、ヘルニアを起こしてしまっている原因である、脊髄を圧迫している椎間板から出てきた圧迫物質を物理的に取り除く方法が手術しかないからです。
原因は物理的に取り除く必要がある
背骨の中にある空洞に太い神経である「脊髄」が走っています。背骨と背骨の間にはクッションの役割を持つ椎間板があります。
このクッションである椎間板の中から原因となる圧迫物質が空洞の中に出てきてしまうため、取り除くには背骨を一部削って空洞の中からそれらを直接取り除くことが必要なのです。
もちろん、必ずしも手術をしなければならないと言っているわけではありませんが、原因を取り除くには外科手術しか方法がありません。
ではその他の治療方法は何があるのでしょう?
手術以外の治療法は?
一つはステロイドによる消炎治療です。ヘルニアを起こしている周辺には少なからず炎症も起こっています。この炎症がヘルニアによる圧迫を強くしているという場合もあり、ステロイド剤による消炎治療が行われます。
手術と同時進行で行われる場合もあり、時には高容量のステロイドによる積極的な消炎治療が行われるケースもあります。
その結果神経の反射が良化する場合も見られます。
東洋医学 鍼治療は?
その他には、東洋医学である「鍼治療」というものもあります。西洋医学ではないため、獣医師の中でも賛否両論であり、もちろん飼い主様の中でも様々な意見があります。
当院でも鍼治療は行っておりますが、主に椎間板ヘルニアの手術後のリハビリとして取り入れています。
手術以外の治療が取り入れられるケース
これらのような手術を行わない場合の治療方法は、症状が軽度である場合や、何らかの理由で麻酔をかけての手術が難しい場合などに選択されます。
当院でも時折みられるのが、15歳を過ぎた高齢犬が椎間板ヘルニアを起こしてしまったケース等です。
10歳を過ぎて起こることもあり手術を行うこともありますが、15歳というかなりの高齢になった場合、麻酔や手術自体を乗り越えられない危険性が出てきてしまうからです。
「ウチの子にとっての一番」を考えてあげましょう
椎間板ヘルニアは突然起こります。圧迫が重度であり、精髄へのダメージが大きいという判断が出た場合、飼い主さんは手術の決断を迫られます。
その際、ワンちゃんの年齢や今までの病気等を踏まえ、獣医師とよく相談しましょう。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。