犬・猫の手術、年齢はいつまで?
人と同じようにワンちゃん、ネコちゃんの高齢化が進んでいます。
動物達の高齢化 原因は?
その理由は、以前に比べて動物への接し方が変化してきたことでしょう。
動物が食べる食餌は「餌」から「ごはん・フード」という表現に変わり、家の外で鎖につながれていたワンちゃん達は、大型犬でも室内飼いがメインになってきました。
ワクチン接種やフィラリア予防への意識が高まり、以前死因トップ1だったフィラリア症で無くなる仔はほとんど見ません。
こういった動物達を取り巻く環境が充実され、寿命もどんどんと延びてきています。
寿命が延びることは良い事?
確かに長生きできることは良い事です。しかしながら、これも人と同じような長寿だからこその悩みが動物達にも付きまとうようになりました。
癌や心臓病、糖尿病といった、一昔前まではそれほど多くなかった病気が増えてきてしまいました。
癌は人と同じように、長生きすればいずれは体に発生してきてしまいます。
心臓病は小型犬に特に多く、若いうちから発症はしていても無症状の事が多く、飼い主様が気づかないうちに歳を取り、気づいた頃にはかなり重症になっているという場面が多くみられます。
糖尿病は以前と比べて食事が変化してきたことと、飼い主様の意識が変化したことが原因だと思われます。食事はバランスのよいフードが増え、味もメーカーがこぞって嗜好性の良いものを開発しています。
おいしそうに食べるワンちゃんを見ると、ついついご飯を増やしてしまい、肥満にさせてしまう飼い主様が増えてきてしまいました。
薬でコントロールできれば…
どんな病気でも、内服薬でコントロールできると助かるのですが、上記3つのうちの一つ、心臓病がほぼ内服薬での治療となります。
糖尿病は毎日注射器でインスリンを打たなければならず、癌においては第一に「切除」での対応が求められます。
高齢・麻酔…大丈夫?
当院でも10歳を超えるワンちゃんの麻酔にはかなり気を使います。
というのも、高齢だから麻酔をかけられないという事にはならないからです。
もちろん、健康な頃よりも麻酔後の回復や消耗などは異なってくるでしょう。長い手術となれば、術中(麻酔中)のリスクも出てきます。
しかしながら、手術を行わなかった場合の残りの人生をよく考え、手術を行うメリットの方が明らかに高い場合は、万全な準備や事前の検査等をしっかりと行って手術へと進むことも少なくありません。
手術をしないという選択肢もつらい場合が
「麻酔はかわいそう」とおっしゃられる方もいますが、手術を行わないことの方がかわいそうな思いをさせる場合もあります。
いずれ出てきてしまう「痛み」や「苦しみ」を飼い主様が見ていられなくなった時、「あの時手術をしてあげていればよかった」とおっしゃる方も少なくありません。
もちろん、麻酔は安全ですとは言えません。しかし、万全な状態を備えて乗り越えることもできます。
色々なお考えがあるかとは思いますが、いざという時はかかりつけの獣医師とよく相談し、よりよいシニアライフを過ごせるようにしましょう。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。