異物誤飲のキーポイント その3
今回はいよいよ開腹手術となる場合についてです。まずは胃切開からお話しようと思います。
開腹手術「胃切開術」
レントゲン上で明らかな異物が胃内に見られる場合や、「飲み込んだところを見た」といった飼い主様の証言が明らかであった場合、加えて催吐処置や内視鏡での摘出が難しい場合などに手術にふみ込みます。
お腹を開けて胃を引っ張りだしたうえで胃の一部を切開する「胃切開術」は、さほど難しい手技ではありません。
ただし、吐き出せないような異物を取り出すということは、時折非常に難しいケースもあります。
症例として多いのは焼き鳥の串を丸ごと飲み込んでしまった場合などですが、このケースで胃切開術となると一番侵襲が少なくて済みます。その理由は、串の太さだけ胃に穴を開ければ取り出せるからです。
大掛かりな手術になるケース
かえって厄介なのは、大型犬がゴムボールを咬んで空気の抜けたところを飲み込んでしまった…大量の砂を食べてしまった…等です。
これらは胃を大きく開けざるを得なく、手術の侵襲も大きくなってしまいます。加えて砂等の塊ではないものは、摘出する時間が相当長くなることがあります。
以前大量のホッカイロを飲み込んでしまった症例がありましたが、噛み砕いて飲み込んだせいか中身がすべて胃の中に出ていました。
2度あることは3度ある
また、一番気を付けなければならないのは「目的以外の異物がないか」確認をすることです。異物を食べる仔は常日頃から何かを誤食している事が多くみられます。
レントゲンに写っているものだけ・飼い主様の証言しているものだけ摘出すると、実は以前にのみ込んだままの異物を取り残してしまったなどというケースを引き起こしてしまいます。
そうならないためにも、胃を外側からくまなく触診して異物が他にないか確認する、胃を開いた際は可能な限り見える部分を目視で確認することを怠ってはいけません。
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