肛門嚢摘出術のキーポイント その2

肛門付近の手術はワンちゃんでは珍しくなく、一番気を付けなければならないのは術中の汚染です。

不衛生な場所も可能な限り清潔に

手術の前の日から食事を抜かれますが、腸の中から便がすべてなくなるという訳ではありません。手術をするために麻酔をかけた後、術中の汚染を防ぐ為に可能な限り摘便を行います。

また、肛門嚢にためられている液体(いわゆる肛門腺)も汚染の原因になります。破裂をしている場合難しいケースもありますが、可能な限り中の液体を搾り取ります。

このようにして衛生学的に清潔になりづらい場所でも、最大限の努力をして感染や汚染を防がなければなりません。

さて、いよいよ摘出になりますが、当院ではここで一工夫加えて肛門嚢をより確実に取り除く方法を取り入れています。

分かりづらいなら、分かりやすくすればいい

肛門嚢は前回にもあったように『袋状』になっています。また、上記に記したように中の液体は絞り出さなければ手術に支障をきたします。

しかながら、絞り切ってしまった袋はしぼんでしまっているため、肛門嚢周囲の組織と見分けがつかなくなってしまいます。

そこで当院では医療用シリコンを独自のシリンジに流し込み、肛門嚢の狭い入り口から中に注入して重点させます。

こうすることで肛門嚢は最大限膨らみ、肛門嚢とそうでない組織との見分けがつきやすく、安全でしかもかなり速いスピードで摘出が可能となります。

麻酔時間を短くするため、手術をより確実にするために、獣医さんの工夫が隠されている手術です。

 

 

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