飼い犬が貧血、輸血?、手術、どうすれば?
ワンちゃんも貧血になるの?
ワンちゃんの貧血は、人の貧血、特に女性特有のものとはまた違ったことで起こります。
人と違い4足歩行なので、頭部が重力の影響を受けづらいという事もありますが、女性のように頻繁に生理的に血液を失うということがないのが主な理由です。
加齢によって栄養状態が維持できなくなってきたりすることもありますが、ほとんどのワンちゃんは食事を充分に摂取でき、栄養不良で貧血になることもありません。
ではどう言ったことでワンちゃんは貧血という状況に陥るのでしょうか?主な二つの原因をお伝えします。
腫瘍による貧血
一つは腫瘍ができ、その腫瘍が破裂し出血が止まらない場合です。
このケースは内臓で起こる事が多く、特に脾臓と呼ばれる臓器で起こりやすいです。
というのも、内臓は飼い主様が殆どその状態を把握できない場合が多いからです。
体の外部や表面にわかりやすく大きな腫瘍ができ始めれば、多くの飼い主様は慌てて動物病院に来るでしょう。
しかし、内臓は外から見た目の異常が殆どわかりません。
気付きにくい脾臓の腫瘍
獣医でもない限り、腹部を頻繁に手で触って異常がないか確かめるといったこともしないでしょう。
そしてこの脾臓という臓器で起こりやすい理由は、腫瘍ができても一般状態が崩れにくい事が挙げられます。
例えば肝臓や腎臓といった臓器は、その機能が生きていくうえでとても重要な役割を持っています。
これらが腫瘍に侵された場合、機能が破たんしていくので「元気がない」「嘔吐や下痢が止まらない」などの症状が出てくるので、腫瘍が大きくなりすぎる前に気づくことになるでしょう。
腸も腫瘍ができやすい部位ですが、この部位も機能が失われると上記のような吐きや下痢といった症状が出やすい臓器です。
では脾臓はどうでしょう?
主に血液を蓄えたり古い血液を壊したりする臓器と言われており、脾臓そのものを摘出しても生命活動はほぼ従来通り行えると言われています。
その為、一度腫瘍ができたとしても、ワンちゃんが健康状態を崩すといったことはほとんどありません。
腫瘍がどんどん大きくなっていくのに気づかず、破裂しお腹の中で出血が止まらなくなり貧血という状況になってしまうケースが殆どです。
免疫システムの異常で貧血
2番目には免疫が絡んだ病気にかかってしまった場合です。
これは人でも起こり得ることですが、自分の血液、とくに赤血球を自分の免疫が壊してしまい、結果血が足りなくなり貧血を起こすといったものです。
重度の場合、血を壊す役割を持つ脾臓を手術で摘出する場合もあります。
とても複雑な病気ですが、ほぼ突発的に起こり、治療や輸血も迅速に行わなければならないケースが殆どです。
ある日突然元気がなくなり動きが鈍くなったとき、口の中や目の白目をよく観察してください。
もし蒼白しているのであれば、すぐさま動物病院に向かいましょう。
さて、これらの貧血が起こった場合、重度の場合は供血犬から血をもらい輸血を行います。
原因を突き止め、処置。そして輸血
腫瘍が原因の場合はまず腫瘍摘出の手術と腹腔内の止血が行われ、免疫疾患の場合は貧血が進行しないよう内科治療を行い、同時に輸血が行われます。
輸血はショックや反応が起こらないよう慎重に行われ、数時間かけて少しずつ血を移していきます。
上手くいけば数時間後には状態が回復傾向に向かうことがあり、より早い処置が望ましいとされます。
とにかく病院へ
これらの病気に直面してしまった場合、飼い主様が一番にできる事は「とにかく早く動物病院に行くこと」です。
そこから先は獣医さん含めた病院のスタッフが全力で救急治療に当たってくれるでしょう。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。