耳血腫

耳血腫(じけっしゅ)とは、耳介(耳たぶ)がなんらかの原因で内出血を起こしその内部に血が貯まり、膨れあがってしまう状態をいいます。

耳介は皮膚と軟骨により形成され、内部には無数の血管が張り巡らされています。

しかし皮膚と軟骨との接着が弱いため、内部で出血が起こるとその接着が剥れ、皮膚と軟骨との間に大量の血液が貯まって、耳介全体が膨れあがってしまうのです。

血腫が小さければ自然に吸収することもありますが、ワンちゃんやネコちゃんは我慢できずに自ら悪化させてしまうことが多く、そのままでは元通りになるような自然治癒はほぼ見込めません。

耳血腫の症状は?

耳血腫の症状として、耳やその周囲を掻く、頭を振る、耳介が腫れる、耳を触ると嫌がるというのがみられます。

耳血腫の原因は?

耳介の血管が切れる原因の大部分は、外耳炎、ダニなどの外部寄生虫、耳の中にある異物や腫瘍、ポリープなどの耳に不快を感じる耳に起こる病気が関係します。

そうなると、頭を激しく振ったり後ろ足で耳を引っ掻いたりすることで内部の血管が切れ、耳介に内出血を起こしてしまうのです。

その他には散歩中に植物のトゲが刺さった、他の犬や猫とじゃれあっているときに咬まれてしまった、耳をどこかに強く打ちつけてしまったなどの結果、引き起こされることもあります。

外部刺激以外の原因では血小板減少症などによる血液の異常によることもあります。

ぶつけたり引っ掻いたりなどの様子が無くこのような症状が出た場合には、念のために動物病院でしっかりと血液検査を受けましょう。

耳血腫の治療は?

耳血腫の治療は、貯まった血液を抜く方法、外科的に耳介を切開して耳介を縫合する方法があります。

血腫が小さい場合には、患部に注射針を刺し、たまった血液や漿液を抜き取ります。

何度か再発を繰り返すようで完治する可能性が低いようなら、早いうちに外科的手術を行います。

血腫が大きい場合には、外科的手術により患部を切開してたまった液体を排出します。

耳介の内側の皮膚に複数個所の穴をあけ、再び皮膚が軟骨から離れてしまわないよう縫合して固定し、包帯で圧迫します。

たいていの場合は治療として外科的手術をすることが多いので、耳血腫が起こった時点でこちらを治療として選択するほうが賢明です。

02_102_2

 

関連の記事

  • 中耳炎・内耳炎中耳炎・内耳炎 外耳道や耳介に起こった炎症を外耳炎と言いますが、この外耳炎が慢性化すると鼓膜をつたい、中耳や内耳という耳の奥まで炎症が波及した病態を中耳炎 […]
  • 外耳炎外耳炎 耳の穴の入ロから内側にある鼓膜のところまでの外耳道の上皮や耳介の炎症のことです。慢性化すると炎症が中耳・内耳まで広がることもあり、中耳炎・ […]
  • 猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群) 猫エイズとは、猫後天性免疫不全症候群(猫免疫不全ウィルス感染症)といい、FIV(Feline immunodeficiency […]
  • ウサギの斜頸 斜頸とはかしげるように首を斜めに傾ける症状のことを指します。これはウサギの神経症状として最も多くみられます。 ウサギの斜頸の原因は? […]
  • 馬尾症候群馬尾症候群 脊椎(背骨)は部位によって頸椎(首の部分)・胸椎(胸の部分)・腰椎(腰の部分)・仙椎(おしりの部分)と呼ばれ、その中を走る脳から抹消の神経 […]
  • 前庭疾患前庭疾患 前庭とは耳の中の一番奥の内耳にあります。 前庭は「卵形嚢(らんけいのう)」と「球形嚢(きゅうけいのう)」と「半規管(はんきかん)」か […]
公開日:2014/10/23
更新日:
治療は光が丘動物病院グループへ
日本で数少ない「1.5次診療」をおこなっている当グループは、
大学病院に匹敵する獣医療の提供飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。

PAGE TOP