椎間板ヘルニア、椎体固定の一例

椎間板ヘルニアの症例はもう珍しくもなくなり、手術を実施できる動物病院も少しずつ増えてきているようです。今回は最近手術をした背骨の固定についてお伝えします。

椎間板ヘルニア手術はリスクが多い

リスクが全くない手術など存在しませんが、椎間板ヘルニアの手術は術後に出てくるかもしれないリスクが色々とあります。

この手術の特徴は突出してしまった椎間板や椎間板から出てきた炎症産物を、背骨に穴を開けて取り除いたり、圧を逃したりするものです。

背骨に穴を開けることにより、その部分の強度が通常の背骨より下がってしまいます。手術後うまく回復をしても、ふとした運動で背骨が折れてしまう…という最悪のケースもあります。そうならないためにも、必要最低限の穴を開けて手術を完了させなければなりません。

固定器具『アリゲータープレート』

今回の手術では、術前のMRI検査である特殊な異常が見つけられました。重度の椎間板ヘルニアに加えて「病変のある部分の椎体(背骨1つ分)と椎体が不安定だ」という診断です。

簡単に表現すると、背骨と背骨がずれてしまっている。という状況でした。

不安定な部分の背骨に穴を開けて手術しなければならないとなると、上記のように術後に穴の開いた背骨に負担がかかりやすく、簡単に骨折してしまうことが予想できます。

そこで当院では『アリゲータープレート』とよばれる特殊な固定器具で背骨の固定を行いました。

これは字のごとくワニの口のような形をしており、責任病変前後の背骨にある突起をすべて挟んで固定する器具です。前後を丸ごと挟むことで背骨が曲がりにくくなりますが、それによる不具合よりも背骨が折れてしまうリスクを軽減するメリットの方が大きいため、最良の手段といえます。

こういった症例は多くみられる訳ではありませんが、外科手術に特化している病院でなければ行えない手技の一つでもあります。もしもの時の事を考え、ご自宅に近いところにある高度な医療技術が提供できる病院を探しておくことをおすすめします。

 

 

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