椎間板ヘルニアになっても手術をしないケース
犬の椎間板ヘルニア=手術というように思われている方も多いと思いますが、手術を行わないケースももちろんあります。
手術を行わない場合とは?
ご自宅で「うちの仔が椎間板ヘルニアになったかも?」と思う瞬間は、やはり後ろ足が不自由に動かなかくなった時だと思います。
ミニチュアダックスフントなどは急激に症状が発現してしまう為、突然動かなくなる場合が多いです。
ですが、発見が早く、なおかつ動物病院にすぐに来院してくれたときなどは、手術を行うかどうか検査を行っている間に治療を早めに進めることができます。
この治療は内科的な治療で、ステロイドなどの薬を使い、現状よりひどくならないよう椎間板の炎症を和らげるために行います。
この治療が稀に良い結果をもたらすことがあります。
手術前に症状が改善していく場合
つまり、病院に来院してくれた時の神経症状が良化する場合です。
その仔の神経症状がどこまでひどく、どこまで回復したかにもよりますが、この経過によって手術を行うかどうかを再度検討しなくてはならなくなります。
手術をしないという選択肢
椎間板ヘルニアの手術は、手術を行っても悪化するという可能性もあります。
そのため、症状が軽いケースは手術を行わないで内科治療のみで経過を観察します。
MRIの検査結果が重度の圧迫があるという場合にはやはり手術に挑みますが、圧迫が中程度であるという場合で症状が改善されてきている場合などは、飼い主様とよくご相談の上手術を行わないという選択がとられる場合があります。
これは椎間板ヘルニアの手術の特殊な部分とも言えるでしょう。
圧迫がひどい場合は手術でしか回復の見込みがありませんが、手術を行うリスクもあり、確実に回復するという事も言えません。
ですから、圧迫が中程度であった場合、そのまま内科治療での経過を観察するという選択肢も出てきてしまうのです。
当院であった手術を行わなかったケース
来院時の神経症状としては、後ろ足が支えても立てなかったという状況でした。
すぐに検査センターに行き、MRIを撮影。検査結果は中程度の圧迫でした。
「たてない」という状況があったため、飼い主様とのお話の上翌日手術の方向で決まりましたが、この間ステロイドの内科治療を続けています。
翌朝神経の状況を調べてみると、自力で起立が可能な状況に回復していました。
自ら歩くというところまでは回復していませんでしたが、こういった場合には再度飼い主様とお話が必要になります。
・内科治療で回復傾向にあるが、リスクも覚悟したうえで手術に臨むか。
・手術をいったん回避し、どこまで回復するか判断するため内科治療を続けるか。
飼い主様とよく話したうえで、手術を回避するという結果が出ました。
これは特に珍しいケースではありません。
もし愛犬が椎間板ヘルニアになってしまった場合、色々なケースが想像できます。
健康なうちから色々な事を相談でき、お話を聞いてくれる病院を探しておくことはとても重要な事だと思います。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。