犬が異物を食べた!吐かせた方がいい?
動物病院にどれだけ長く働いていても、「うちの子がおもちゃを食べちゃいました!」といった問い合わせは後を絶つことがありません。
口に入る大きさであれば飲み込んでしまうこともあります。異物誤食が絶えないのは仕方のない事なのかもしれませんね。
ワンちゃんが異物を食べたら!?
さて、もし万が一異物を食べてしまったら…?
一番よくあるお問い合わせは「どうやって吐かせたらいいですか?」といったものです。たしかにすぐに吐き出してくれれば大きな問題にはならずに済むかもしれませんが、異物によっては危険な事にもなりかねません。
吐かせることが第一ではないことも
特に鋭利なものや、噛み砕いた結果鋭利になってしまったものなどは、安易に吐かせることは危険です。
ワンちゃんが吐く際、胃は大きく動きます。また、異物が逆流する食道にも負担や圧力がかかります。鋭利なものはこの反動で胃や食道を傷つけたり、最悪「穿孔」といって穴を開けてしまうことがあるのです。
特にプラスチックのおもちゃや動物の骨などはその可能性が高く、動物病院では『元の形』と胃の中にある形をしっかりと確認したうえで処置を検討します。
ご家庭では無理をさせないで!
ワンちゃんに強制的に吐いてもらう「催吐処置」は、ご家庭にあるものでもできないことはありません。ただしワンちゃんの健康を考えるとお勧めできません。
家庭にある物で吐かせようとした際には、どうしてもワンちゃんにそれらを飲み込んでもらわなければならなくなります。食べたら吐くようなものを強引に食べてもらうという事です。
これはあまりにもワンちゃんがかわいそうな思いをするという点と、異物を食べて荒れている胃や食道をさらに荒れさせてしまうことになります。
動物病院に来た異物誤食は
病院では専用の薬剤を使い、なるべく胃に負担をかけないような催吐処置を行うこともできます。
また、吐けない大きさの物を食べてしまった際や、吐かせることが危険な際は「内視鏡」を使って取り出すことも検討されます。
それでも難しい場合にはやはり胃切開術を検討しなければなりません。
胃切開術が最良の手段の場合も
麻酔をかけて胃を開けることとなるので、抵抗される飼い主様も少なくないでしょう。でも、吐けないものを吐かせようとすることもワンちゃんにとってはとてもつらい事です。
ワンちゃんが感じている苦痛がどれだけ早く取り除けるか、そういった視点でも獣医師とよく相談して対処してくださいね。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。