皮膚の腫瘍切除の一例

今回は腫瘍の切除についてです。以前にも腫瘍については書かせていただいたことがありましたが、今回は当院の症例で前腕の部分に4cmほどの腫瘤ができ、切除した例を紹介させていただきます。

腫瘍ができた場所によって様々な変化が

飼い主様が気づいてから手術までは少し時間がありました。

細胞診上の結果が悪くなかった為ですが、小型犬の腕にできた腫瘤にしては大きさがソコソコ大きい事、また良く地面と擦れる場所でした。

今後の事を考えると、大きくなった際に擦れて壊れてしまうという危険性もあります。若くて体力があり、おおきくなりすぎ無いうちに切除するという判断をしてくれました。

切除だけでは手術は終わらない

腫瘤の切除後、当然切り取った部分を縫い合わせなければなりませんが、前腕という部分は皮膚のゆとりが少なく、ある程度の大きさのものを切除すると寄せる為の皮膚が足りないという問題が出てきてしまいます。

そこで私たちは切り取った部分の皮膚を寄せる為に、前腕の切除していない健常な皮膚にいくつか切れ目を入れ、網目状にすることで皮膚を寄せて縫合するというやり方を取る場合があります。

このやり方は皮膚の再生を利用したもので、縫合すべきところに皮膚が足りない場合、その周囲に切れ込みを入れて皮膚を伸ばし、縫合する部分は通常通り縫合、切れ目を入れた部分は皮膚の盛り上がりを待つという方法です。

この方法だと皮膚の足りないところでも切除が可能となったりします。ただし、通常の縫合とは違う為に傷の治りは時間がかかります。できるだけこの処置をしないで縫合ができると助かりますが、どうしてもという場合はせざるを得ません。

皮膚の再生を促すドレッシング剤を包帯と一緒に巻き、感染などが起こらないよう小まめに術創の確認に来院していただきます。

長生きしてくれるからこそ

動物達も長生きになり、良性の腫瘍でも生活の質を下げてしまう場合がよくみられます。若いうちから獣医師とよく相談し、5年先、10年先をみすえた治療プランを組んでいきましょう。

公開日:2015/09/02
更新日:
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