膿胸・開胸手術のキーポイント その2
手術でも人と動物の違いがある
胸を開く開胸手術はお腹を開く場合と異なり、動物を横向きにして手術を開始します。これは、人間と犬・猫では肋骨の形が異なっている為です。
肺・心臓が収まっている胸腔は肋骨で覆われています。人間は前・後ろの幅よりも左右の幅が広いため、あおむけにして手術する場合もありますが、犬や猫は前・後ろよりも左右の幅が狭いため、横向きにした方が手術がしやすくなります。
胸腔内を丁寧に洗浄
肋骨と肋骨の間に切開を入れていき、胸腔までアプローチした後、「開創器」といわれる器具で術創を広げます。肋骨は一部軟骨でできている為、専用の器具を使うとかなり大きく開くことができます。
膿胸の場合はこの後肺や心臓を直接傷つけないように配慮しながら、生理食塩水などできれいに洗浄していきます。胸腔の隅や肺と肺の間などにも膿が残らないよう、丁寧に洗浄します。また、同時に膿自体を採取して何の細菌による膿なのかを特定し、手術後に使用する為の抗生剤を見つけ出します。
洗浄が終了したら、ドレーンと呼ばれるチューブを入れながら術創を閉じていきます。このドレーンは、術後数日にわたって胸腔内の洗浄を繰り返ししやすくするためのもので、開けた術創を縫い合わせる際、糸と糸の間に挟み込んでおきます。
手術後も続く治療
手術後は再び膿が溜まってくることがあるので、留置したドレーンで繰り返し洗浄をします。膿が見られなくなったらドレーンを引っこ抜き、完治です。
膿胸は飼い主様が見た目で気づきにくい病気の一つですが、呼吸などを観察していると正常との違いが分かります。普段から「普段の姿」を観察し、万が一の時の備えとしましょう。
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