椎間板ヘルニア手術のキーポイント その4
前回までで手術に関してはほぼ終了です。圧迫物質をできる限り取り除いた後は、アプローチするために剥離した背筋を縫ってよせ、縫合していきます。
手術後のケア
手術後は術部に熱がこもることがあるので、体温は維持させつつ、術野のみをアイスノン等で3~5分ほどアイシングします。
術後に気を付けなければならないことは他の手術と大きく変わりはありませんが、この椎間板ヘルニアという症例では見逃してはならない重篤な症状の変化があります。
この手術を経験されたり、椎間板ヘルニアについて調べられた方はご存知かもしれませんが「脊髄軟化症」という病気に移行してしまう可能性を忘れてはいけません。
最悪のケース「軟化症」
この脊髄軟化症は、ヘルニアの圧迫が重度であったりすると、圧迫部位の脊髄が壊死を起こしてしまうという症状です。この壊死が運悪く脊髄全体に進むと、脳にまで達し命を落としてしまいます。
残念ながらこの脊髄軟化症の進行は現在の医学では止める手立てもなく、いつ起こるかも予測ができません。いち早く手術で圧迫を取り除いてあげることが唯一の予防策と言えるでしょう。
圧迫が取れた後でもこの脊髄軟化症が進んでしまうケースがいくつかみられており、最善・最速で手術を行い2~3日落ち着いていても、急激に進行してしまうことがあります。
故に手術後の入院中は少しの変化も見逃すことができません。
術後は上記の軟化症に気を配りつつ、本人の反射にあわせたリハビリを手術の翌日から取り入れていきます。無事に退院できる日を祈るばかりです。
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