膝蓋骨内方脱臼整復術のキーポイント その3
今回は本来膝蓋骨が滑らかに移動する場所、大腿骨の末端にある溝の整復についてです。
溝を人工的に作る「造溝術」
この場所は膝蓋骨が滑って移動する溝なので「滑車溝」と言われています。この滑車溝が生まれつき浅かったり無かったりする子は、膝蓋骨が正常な場所にとどまらずに脱臼してしまいます。
この場合、溝の深さを手術で作り出さなくてはなりません。ある程度溝がある場合は、手術用のドリルで掘り下げます。
重度に溝がない場合や、逆に盛り上がってしまっている場合などは、溝を作る最適な場所から骨の表面を切り取り、いったんはがした後、はがれた部分の骨の内部を深く削って人工的に溝を作ります。
削り取った後に先ほど取り除いた骨の表面を溝に埋め込み、人工的な溝を作成します。この方法を滑車溝形成術といいます。
脱臼がひどいほど手術は大掛かりなものに
前回紹介した方法と同じように、骨を削り取ったりする手術なので手術の侵襲はけして少なくありません。
やはり脱臼の程度がひどい場合は、早めに手術の決断をしていただくようお勧めいたします。
公開日:2015/04/06
更新日:
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